夕刊読んでみた!林家木久扇さんの連載
こんにちは。中日新聞店豊橋西部専売所 鳥居新聞店です。
このところ 毎日梅雨空でカラリと気持ちのいい晴天が、一日続くという日がありませんね。お洗濯物が乾かなくて、部屋干しで室内が手狭になったり、コインランドリーの利用が増えるのも手間のかかるものです。九州地方の豪雨災害も、毎日のように被害が拡大して深刻な状態です。気持ちも鬱々としてきそうで、そろそろ梅雨明けの青い空が待ち遠しくなってきました。
さて、そんな梅雨時期。夕刊の連載記事 『林家木久扇:この道』をご紹介します。今回は73回目。冒頭の『金は貯めるな、残せ』の一文。読んでみて、あれ?なにやら矛盾が・・・。と感じた方も多いはず。でも、木久扇さんの師匠:林家正蔵氏は続けてこう説きます。
『例えば米屋、酒屋さんが集金に来る。役所から税金を納めろといってくる。こういう払わなければいけない金は、払いを延ばしたり、まけさせちゃいけない、ちゃんと払う。そうしたあと手元に残った金は、無駄に使わずに貯金しておけという意味』
さらに、正蔵師匠は自身の死後の筋書きも書き上げて、誰知れず手筈を整えてあったといいます。そのすらりと筋の通った金銭哲学が浮かび上がる。まず、アイバンク・献体への提供。葬式をやれば金と時間を使って人が動く。無駄になるから、『葬式はあげずにそっと焼いちまえ』と。葬式すると仮定して取っておいた費用は、弟子達へ分配し、苦しい生活の足しにするよう長女に言い残している。そうして、亡くなった夜、病院で仮通夜だけをすませ、翌日には寝台列車で家族の元を去って行かれた正蔵師匠は、一周忌に『返骨式』の折に帰ってこられたそうです。
時代背景もあるでしょうが、この献体提供の報道の後に献体登録が大幅に増加した事で、正蔵師匠は時の文部大臣から感謝状を贈られています。
貯めればケチ。残せば慈愛。受け取る側の資質もあるでしょうが、揉め事にならなかったのは師匠とご家族のお人柄でしょう。お金は大事ですが、使い方でこうまで人を幸せと不幸のどちらにも連れていくものはありませんね。
後日談として、兄弟子らが一人『30万』ずつ貰っていたと聞いた木久扇さんが『私は(お金)頂いてません』と催促すると、師匠の娘さんは「あんたと正楽は売れてるからいいって書いてあったわよ」と、師匠の娘さんらしいオチで笑っていらしたそうです。読んでいて、からりと気持ちが晴れるような気持ちになれました。